大阪トヨペット株式会社では、店舗での車両撮影における現場の負担を解消するため、コンデジから中古iPhoneへの切り替えによる業務効率化を実現しました。その背景にあったのは、現場を楽にしたいという想いと、機密データを安全に社内サーバーへ格納するセキュリティ要件の両立です。全店舗へiPhone計220台を導入し、今や現場スタッフから「もっと台数を増やしてほしい」と歓迎される結果をもたらした経緯について、大阪トヨペットグループホールディングス株式会社の総務部 システムサポートグループ グループ長 中島 浩 様にお話を伺いました。
課題
- セキュリティを担保しつつ、社内ネットワークへ直接データを転送できるコンデジが市場に存在しないこと
- 撮影のたびに発生するSDカードの抜き差しや、PCを介した手動アップロードによる店舗スタッフの過度な負担
- キャリア経由でのスマホ導入は、回線契約が必須のため不要なコストがかかること
解決策
- 現場が求める画質を維持したままコンデジからiPhoneへの切り替えを実現
- アプリを活用してボタン一つで社内サーバーへデータを飛ばす「SDカード不要」の仕組みを構築
- 通信契約を伴わない端末単体での中古レンタルにより、月々のランニングコストを最小化
効果
- セキュリティ要件を満たしたまま、機密性の高い撮影データを社内システムへ安全かつ直接集約
- 手動アップロードの撤廃で現場の負担が解消され、管理工数も大幅に削減
- 費用を抑えた大規模導入により生まれた時間的余裕が、現場スタッフの自発的な改善提案を促進
地域に密着したモビリティ企業が挑んだ“記録業務”のアップデート

総務部 システムサポートグループ グループ長 中島様
大阪地区を中心に、自動車販売事業からマリン事業まで幅広く展開する大阪トヨペット株式会社。人々のモビリティの可能性を広げつづける中島様は、自社の企業風土についてこう語ります。
「とにかく“働く人を大切にする会社”なんです。待遇面だけでなく、仕事面でも一人ひとりを見てくれているのを感じます。自分の提案が形になる、非常にやりがいを感じる環境です」
そんな同社の販売店舗では、ひとつの課題を抱えていました。
「店舗では、法令遵守や業界ルールに基づき、車両検査や事故車両の状態の記録写真を残すことが義務付けられていますが、コンデジ特有の『SDカードを抜いてパソコンに取り込み、手作業でデータを整理する』というアナログな工程に多くの工数が奪われており、効率化を図る必要がありました」
何より、長年現場を支えてきたコンデジ自体も老朽化が進み、まさに“買い替えのタイミング”を迎えていたのです。
「デジカメで記録」という固定観念を捨てて辿り着いたiPhone導入

現場で活躍する「カメラ専用機」のiPhone端末
中島様が最初に検討したのは、新しいコンデジへの買い替えでした。Wi-Fi機能を搭載し、撮影後そのまま社内ネットワークに接続できるカメラがないか、探し回ったといいます。
「“昔、Wi-Fiにつながるコンデジがあったはず”という遠い記憶を頼りにいろいろと調べたのですが、今のWi-Fi転送機能付きカメラは、そのメーカーが提供する外部アプリを経由して転送する仕組みが主流でした。しかし、当社の業務で扱うのは機密情報です。セキュリティ上、外部サーバーやアプリを介するわけにはいきません。私たちが求めていた『自社のネットワークに直接アクセスし、社内のファイルサーバーに写真をアップできるコンデジ』は、この世に存在すらしていなかったのです」
セキュリティ要件を満たせず、新たなコンデジへの買い替えが難しいところ、次なる候補として浮上したのが、スマートフォンのカメラ機能です。
「スマホならば、社内のWi-Fiネットワークに直接接続して自社のファイルサーバーに写真をアップできる。わざわざ専用の『デジカメ』である必要はないと気付いたんです。これなら、撮影した瞬間に決まった場所へデータを格納できる仕組みが作れる。長年の課題だった、SDカードの抜き差しからも解放されると考えました」
この発想の転換が、業務改善の大きな一歩となりました。しかし、理想の運用を実現する手法を模索するなかで、実務の現場では避けられない「コスト」という新たな問題に直面します。
「当社は大手通信キャリアの販売代理店でもあるため、自社経由でスマートフォンを導入する方法も検討しました。しかし、通常の手順ではSIMカードをセットにした契約が前提となります。たとえ安価なプランを選んでも、全店舗分220台の通信費となれば月々のランニングコストは膨大な金額になるので踏み切れませんでした。社内Wi-Fiで運用したい我々にとって、回線契約に伴うコストは導入を阻む大きな懸念点でした」
このままでは予算の見通しが立たない――。そうして導入を躊躇していたタイミングで、取引先の担当者から提案されたのが、法人向け中古端末レンタルサービス「Belong One」でした。
「まさに『これやん!』と叫びたくなるような、私たちが求めていた条件にぴったりの“端末だけ”のサービスで、本当に驚きました。SIMカード付きのランニングコストに比べれば、1台あたりの費用もかなり抑えられる。あまりのタイミングの良さに、他社との比較もせず即決に近い形で導入を決めました。今振り返っても、これ以上ないベストチョイスだったと感じています」
現場を驚かせた端末のクオリティと220台のスピード供給

導入の決め手とBelong Oneの調達力に驚いたとのこと
その後、紹介を受けてから1カ月ほどでサービスの利用を開始。導入する端末選びにあたっては、2つの明確な基準があったといいます。
「ひとつは、すべての端末をiPhoneでそろえること。自社専用のアップロードアプリを開発する際、『端末をiPhoneに統一してほしい』という要望がありました。Androidは機種ごとに仕様や挙動が異なるため、220台という規模で安定稼働させるには課題があったからです。また、OSのアップデートへの対応のしやすさも、端末が統一されているほうが菅理しやすいので将来的なメンテナンスコストを考えればiPhone一択でした」
もうひとつの条件は、記録用として不可欠な「カメラの画質」です。
「車両の状態を克明に記録する必要があるため、画質に妥協はできませんでした。しかし、高性能なナンバリングモデルはレンタル料も上がります。そこで、コストを抑えつつ十分な画質を確保できる『iPhone SEシリーズ』が最適ではないかと検討を重ねました。実際にテストしたところ、業務用途として全く問題ない画質であることが確認できたので、導入を決定したのです」
機種が決定したあとのBelongの調達力も驚きだったといいます。
「220台という規模の端末が短期間で揃ったことには驚きました。あまりの早さに自社アプリの開発が追いつかず、少し焦りましたね(笑)」
さらに、届いた端末を手にした中島様はその状態の良さに目を丸くしたといいます。
「届いた端末を見た瞬間、『これサラ(新品)やないの?』と勘違いするほどの美品でした。よく見れば色のバリエーションが豊富なので、そこでようやく中古だと思い出すくらいで(笑)。現場のスタッフにはあえて中古と伝えて渡してはいないので、おそらく誰も気づかず新品のiPhoneだと思って使っているはずです」
現場の声を形に変えていく風通しの良い組織のかたち

「もっと増やして」という現場の声に手応えを感じ新たな開発も
2025年11月に「Belong One」の中古端末レンタルサービスをスタートして数カ月が経ち「期待通りの効果が得られている」と中島様は手応えを口にします。
「現在は、撮影した写真をアプリ上で操作するだけで、アップロードまで簡単に行うことができ、店舗スタッフからは『業務の負担が大きく軽減された』『作業工数が削減された』という声が多くあがっています。以前は、撮った写真に決まったファイル名をつけ、所定のフォルダへ手動でアップする手間がありましたが、今はアプリのボタン一つで済む。この差は非常に大きいです。最近では現場から『こんな使い方はできませんか?』と新しい提案も来るようになりました。こうした取り組みは、現場からそっぽを向かれてしまうケースもあるので、みんなが興味を持って応えてくれて本当によかったです」
また、この仕組みはデータの管理品質向上にも寄与しています。
「以前は、コンデジで撮った写真を格納する際、ルールを統一しても人によってファイル名の付け方にバラつきが出てしまうため、後から修正する管理側の負担も小さくありませんでした。しかし、アプリを導入してからは、写真を撮ってボタンを押すだけで決まった場所に決まった名前で格納されるため、管理業務も非常にスムーズになりました」
現在は、店舗から「配布する台数を増やしてほしい」という要望があがるほど、現場にはこの新しい運用が浸透しています。
中島様は、こうした施策を後押しする自社の姿勢について、次のように語ります。
「今回の取り組みに限らず、“自分の提案が採用される”というのは、働く側にとって大きな喜びです。意思決定が早く、現場が助かるアイデアがあれば、新しい仕組みの導入も柔軟に受け入れてもらえる土壌があります。今回のiPhone導入も、そうした環境があったからこそスムーズに進めることができました」
そう語る中島様は、この「意思決定の早さ」は同社の強みであると感じています。
「自動車業界は伝統を重んじる文化が根強く、新しい仕組みの導入には慎重になりがちな側面もあります。しかし当社は、現場のためになる新しいアイデアやツールであれば拒むことはありません。納得感のある説明さえあればすぐに進められる環境は整っていますね」
今回の導入を皮切りに、「カメラ機能を軸に、この端末を店舗業務の核にしていきたい」と中島様は先を見据えます。今後は現場からの提案を受け、書類のスキャン機能を搭載したアプリの開発も予定しているそうです。
使い古されたコンデジから、機動力のあるiPhoneへ。身近なツールの切り替えから着実に業務のあり方を変えていく大阪トヨペット。これからも“働く人”を大切にしながら、一歩ずつ現場の利便性を高めていきます。